「スクラムの基本と活用方法」イラスト付きで解説!

「スクラムの基本と活用方法」イラスト付きで解説!

スクラムをすでに実践している人は、何度か聞いたことがあると思いますが、「スクラム は理解するのは簡単、実践は難しい」と耳にしたことがあるのではないでしょうか。

そんなスクラムについて、認定スクラムトレナーのJoe Justice(ジョー ジャスティス)に聞きました。スクラムを正しく理解さえできれば、それ はとても簡単であると話します。
彼は、数多くの大手グローバル企業でスクラムを指導し、世界を20カ国以上で活動しています。日本では、トヨタ自動車やKDDI、NEC、日立、キャノン等の各社にてスクラムの実践指導経験を豊富に持っています。

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「3-5-3」とスクラムアクセサリ

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スクラムは、基本の11の要素だけで、簡単で、速く、楽しいものです。「3−5−3」と呼ばれる 3つの役割5つのイベント3つの作成物があります。このシンプルさが、スクラムが世界で最も使用されているアジャイルフレームワークである理由かもしれません。

求人情報では、他のどのアジャイル資格よりも「認定スクラムマスター(CSM)」が求められていることが多いです。他のビジネスの機能が、スクラムと同じ価値を提供できている場合、スクラムの11の要素は必要ないかもしれません。この記事では、スクラムの11の要素と、ビジネスパフォーマンスを低下させることなく、各部分をスキップできる場合について説明します。

また、アジャイルビジネスの専門家コミュニティでは、スクラムチームのビジネス能力を向上させるために、何百ものスクラムアクセサリ(スクラムの基本11要素以外を指します)が開発され、改良されてきました。この記事では、最もよく使用されるアクセサリの機能について説明します。また、スクラムの「3-5-3」をきちんと確認することで、アジャイルチームワークのビジネス成果を体系的に改善し、特定のアクセサリの実践を開始するかどうかを選択できます。 

3つの役割

プロダクトオーナー/PRODUCT OWNER

プロダクトオーナーの役割は、スクラムチームの仕事に優先順位をつけます。組織が正しいものを構築すること、多くの利害関係者の間で正しいものが何であるかについて調整し認識を合わせます。

次のものを継続的に実行し、最も価値のあるオプションにできる場合は、別の方法で達成されているので、プロダクトオーナーの役割は必要ありません。

プロダクトオーナーのインプットは、実行すべきオプションのビジネス価値と、それを実行するための労力の見積もりです。またチームが、学びを得られることも重要です。
検討すべきオプションのリストは、スクラムの最初の推奨アクセサリである「準備ができていない」リストです。準備ができていないリストとは、チームのスクラムボードの列にあります。実行すべきプロジェクトや、プロダクト、サービスが、プロダクトオーナーによって検討されるようにリストされています。これはまだ技術的な依存関係や、価値、労力などによってまだ優先順位が付けられていません。

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プロダクトオーナーが成功した場合のアウトプットは、プロダクトバックログであり、優先順位が付けられた1つのリストです。それは、少なくとも最初のスプリント分の作業がチームの「準備完了の定義」を満たしている必要があります。準備完了の定義とは、通常はスクラムボード上に書かれ、チームの合意のもと決まります。チームは、準備完了の定義を満たすプロダクトバックログアイテムを、ひとつのスプリント内に完了する可能性が高いことを約束します。

ここでは、プロダクトオーナーが成功するために何をインプットし、何をアウトプットするかをまとめてみましょう。
インプット:バックログの「準備ができていない」 列
アウトプット:「準備完了の定義」を満たす「プロダクトバックログ」

スクラムマスター/SCRUM MASTER

組織が一貫して目に見える形でスピード、品質、心理的安全性を向上させており、以下に示すスクラムの5つのイベントの価値が達成されている場合、ススクラムマスターの役割は、すでに別の方法で達成されているので、省略されることがあります。

スクラムマスターは、スクラムチームの作業を観察します。これは、スクラムマスターのインプットであり、スプリントバックログの作業に参加することもあります。彼らの主なアウトプットは、チームのスピード、幸福度、能力を体系的に向上させるための改善、または特定のビジネスやポジティブに仕事ができるようにすることです。これらの「改善」は、チームを混乱させることなく直ぐに実行されるか、チームの準備ができていないリストに入れられ、直ぐにプロダクトバックログまたは、スプリンバックログトに優先順位を付けられます。

スクラムマスターの2つ目のアウトプットは、目に見える大きな「スクラムボード」です。スクラムチーム間の安定したインターフェイスを作り、グループスクラムで、多くのチームが迅速かつ効果的に連携して作業できるようにします。

スクラムマスターの3番目のアウトプットは、スクラムの5つのイベントを促進すること、またはスクラムの5つのイベントのアウトプットが別の方法で満たされるようにすることです。

明確にするために、スクラムマスターの役割のインプットとアウトプットを要約しましょう。
インプット:スクラムチームの作業を観察すること、または作業に参加します。
アウトプット:チームのスピード、幸福度、能力を体系的に向上させるための改善。
アウトプット:「スクラムボード」チームが迅速かつ効果的に連携して作業できるようにする。
アウトプット:スクラムの5つのイベントを促進する、または5つのイベントの価値が別の方法で達成されていることを検証する。

開発者/DEVELOPMENTS

開発チームは、作業を行う人や、ロボット、自動化されたプロセスを指します。作業を完了させるのは開発チームです。その開発チームのパフォーマンスは、「準備完了バックログ」と呼ばれるインプットが、アウトプットをもたらす速度によって決まります。アウトプットは「プロダクトインクリメント」(顧客に納品が可能な状態のプロダクト)と呼ばれ、これが完了の定義と、受け入れ基準を満たしていることをスプリントレビューで確認します。

開発チームは、準備完了の定義を満たすプロダクトバックログを、インプットとして受け取ります。プロダクトバックログのトップにあるプロダクトバックログアイテムは、準備完了の定義を満たしている必要があります。
次に、開発チームは「スプリントバックログ」を作成します。スプリントバックログは、開発チームの計画です。開発チームは、スプリント中にスプリントバックログを何度も変更します。
プロダクトバックログのトップアイテムを達成することは、受け入れ基準を満たし、チームの完了の定義を満たすことを意味します。

インプット:「準備完了の定義」を満たす「プロダクトバックログ」
アウトプット:「プロダクトバックログアイテム」の「完了の定義」を満たすための変更可能な計画を示す「スプリンバックログト」
アウトプット:「完了の定義」および受け入れ基準を満たす「プロダクトバックログアイテム」

5つのイベント

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スプリント/SPRINT

プロダクトが納期内、予算内で一貫して達成されており、さらに作業中の問題に対して迅速なフィードバックループを持っている場合、スプリントは省略できます。

スプリントは、チームがプロダクトや、サービスを提供し、それがどれだけ効果的に完了したかについて、フィードバックを受け取る最短時間のサイクルです。これはよく理解されていません。プロダクトがすべての設計、評価、品質、資金調達、テスト、認定などのフェーズや、レビューを完了していない場合、スプリントを終了することはできません。
これが正しく理解できていない場合は、認定スクラムマスター、次に認定スクラムプロダクトオーナーのセミナーを検討してください。
インプット:「準備完了の定義」を満たす「プロダクトバックログ」
アウトプット:「完了の定義」および受け入れ基準を満たす「プロダクトバックログアイテム」

スプリント計画/SPRINT PLANNING

チームがスプリントの範囲内で完了したミッションと目標を顧客に提供することに一貫して成功している場合、チームはスプリント計画を省略できます。

スプリント計画は、開発チームがプロダクトオーナーに向けて、スプリントが品質基準を満たす可能性がどれだけあるかを伝えます。また、どのように仕事を進めていくか、初期計画を作成するための最短の会議です。

インプット:「準備完了の定義」を満たす「プロダクトバックログ」
アウトプット:開発チームとプロダクトオーナーが合意した「スプリンバックログ」。これは合意された「スプリント」の範囲内で、「完了の定義」と受け入れ基準を満たして完了する。

デイリースクラム/DAILY SCRUM

作業を行っている人たちが、次に何をすべきか、作業を妨げているのは何かをすでに認識し、最速で互いに助け合い改善する方法がある場合には、デイリースクラムは省略できます。

デイリースクラムは、最適なアウトプットを得るために1日の作業を再計画するための最短の会議です。

インプット:何が完了したか、何が進行中であるかなど「スクラムボード」の更新状況。
アウトプット:健康的かつ持続可能な方法で、責任を持って最も進歩するためのその日の計画。

スプリントレビュー/SPRINT REVIEW

心理的安全性が高く、開発チームが作業を完了してから数日以内に、実際のユーザーフィードバックを受け取り、作業の再優先順位や改善のために活用されている場合は、スプリントレビューは省略できます。

スプリントレビューは、次のスプリント内に完了の定義を満たせるプロダクトバックログの量を統計的に説明し、それを達成するための初期計画を作る実用的で最短のイベントです。

インプット:「準備完了の定義」受け入れ基準を満たす1つ以上の「プロダクトバックログアイテム」
アウトプット:生成された「プロダクトバックログアイテム」を使用するユーザー、または想定されるユーザーの観察。このステップはよく誤解されます。「プロダクトバックログアイテム」は、「スプリントレビュー」で顧客によって使用されます。スプリントが顧客にとって満足するものを生み出さなかった場合、スプリントはチームの現在のレベルの自動化およびエンジニアリング手法に対して短すぎました。

スプリントレトロスペクティブ(振り返り)/SPRINT RETROSPECTIVE

仕事をしている人たちが、品質を低下させることなく一貫してスピードを上げ、心理的安全性と幸福が維持できている場合は、スプリントレトロスペクティブは省略できます。

スプリントレトロスペクティブは、心理的な安全性を高め、品質を低下させることなくチームのスピードと幸福を高めるために実用的で最短の会議です。

インプット:スプリントレビューの観察と毎日のスプリントの仕事。
アウトプット:スピードまたは幸福を高めるための継続的な改善。次のスプリント内で、スクラムチームの能力の範囲内で完了することを約束します。

3つの作成物

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プロダクトバックログ/PRODUCT BACKLOG

作業の優先順位がつけられ、作業を行う人たちと、作業を依頼する人たちの間でそれが共通理解され、マルチタスクが最小限であるか存在しない場合、プロダクトバックログは省略できます。

プロダクトバックログは、スプリントサイズのプロジェクトや、プロダクト、サービスひとつひとつをリスト化したものです。

インプット:バックログの「準備ができていない」列、またはリスト。
アウトプット:プロダクトバックログのトップアイテムは、「スプリント計画」中に、開発チームによってスプリントバックログに取り込まれます。

スプリントバックログ/SPRINT BACKLOG

チームが集中力を維持し、プロジェクトがマルチタスクを生み出していない場合、スプリントバックログの目的は別の方法で達成されているため、スプリントバックログは必要ないかもしれません。

スプリントバックログは、開発チームが、スプリントの範囲内で、完了の定義および受け入れ基準を満たすために、トップのプロダクトバックログアイテムに取り組みます。その成功をスプリントレビューで実証できるという計画です。

(出荷可能な)インクリメント/POTENTIALLY SHIPPABLE PRODUCT INCREMENT

チームが各スプリントの終わりで、顧客に完了した高品質のプロダクトを納品し、顧客がそれらを使用できる場合、このアウトプットは達成されています。

進行中のプロダクトの納品プロセスを示せないアジャイルチームは、進行が停滞したり、混乱したり、納品のリスクがある可能性があることに注意してください。
またインクリメントは、ほとんどの場合、過去のインクリメントに基づいて構築されており、過去のインクリメントやその他の実際のプロダクトと統合した場合に、機能するかどうかをテストおよび評価する必要があります。このテストはスプリントの一部であり、通常はスプリントレビューの一部として行われます。

スクラムアクセサリー

準備ができていない/NOT READY

プロダクトバックログのすぐ左側にある列またはリストで、将来の作業のオプションを検討することができます。

プロダクトバックログリファインメント(精査) /PRODUCT BACKLOG REFINEMENT

誰もが参加する会議で、「準備ができていない」列のアイテムを精査し、プロダクトバックログに優先順位を付けます。そのプロダクトバックログは準備完了の定義を満たしています。

準備完了の定義/DEFINITION OF READY

通常は準備ができていない列のすぐ左側にあります。特定のプロダクトバックログアイテムが、スプリント内にその作業を完了する可能性が80%以上あるほどリスクが低く、最小限の明確さとビジネスの整合性であることを示しています。

ブロックボックス/BLOCKED BOX

別のチームやベンダー、またはチームの制御外のロボットプロセスなど、外部の依存関係を待機している作業を配置する場所。

完了の定義/DEFINITION OF DONE

チームのコミットメントは、完了したどの作業も、その定義した品質基準を満たす必要があります。

完了ボード/DONE BOARD

各スプリントの列。4つ以上のスプリントをスクロールバックし、完了の定義を満たし、以前の各スプリントでチームの顧客に受け入れられたものを示します。

チームの合意/TEAM WORKING AGREEMENT

通常はスプリントバックログの上にあります。チームメンバーで合意した内容を示します。リストは通常​​、覚えて使用できるようにするため、10項目未満です。

スプリントバーンダウンチャート/SPRINT BURN DOWN CHART

完了の定義を満たしたアイテムは何か、いつ完了したのかを示すタイムチャート。 スプリントバーンダウンチャートは、特定のスコープがいつ完了するかという質問にすばやく答えることができます。
新しいプロジェクトやクライアントを引き付けるなど、範囲を拡大したい場合には、バーンアップチャートを使用することをお勧めします。

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リリースバーンダウンチャート/RELEASE BURN DOWN CHART

現在のスプリントや過去のスプリントで、より大きなプロダクトに向けて小刻みに作業を進めている間に、いつ、何が完了の定義を満たしたかを示すタイムチャート。例えば、最新の車には何千もの部品があります。開発チームが後方互換性、歩留まりの向上、生産時間の短縮、コストの削減という完了の定義でスプリントあたり平均20個の部品を改善している場合、リリースバーンダウンチャートは、その車の生産中のすべての部品がいつ新しい完了の定義を満たしたかを示すトレンドラインを表示します。


ペルソナ/PERSONAS

通常は完了ボードのすぐ右側にあり、プロダクトのリリースや使用に影響を与える可能性の高い、ユーザー、購入者、メンテナー、購入インフルエンサー、プロジェクトに資金を提供する人、または影響を与える可能性のある社内の利害関係者、コンプライアンス担当者などが表示されています。
各ペルソナには、短い名前や、イメージする写真、構築中のプロダクトやサービスに求めるもの、それに関連して嫌いなものや不満の原因など短いリストにします。価値を評価し、リスクを軽減するために各ペルソナを喜ばせるためのバックログを作成します。どのペルソナにとっても利益が最大化するようにします。

相対的なサイズの見積もりの​​参照/RELATIVE SIZE ESTIMATION REFERENCES

チームは最近完了したプロジェクトを参照することにより、迅速かつ正確に、次のプロジェクトの労力や複雑さの予測ができます。次に、完了の定義と受け入れ基準に合わせて完了時間を予測することで、いつ完了するのか、またチームはスピードアップしているのか、スピードダウンしているのかを知ることができます。スピードについては、追加の自動化やロボットサポートがチームのスピードを向上させているかどうかを評価するためによく使われています。

相対的価値の見積もりの​​参照/RELATIVE VALUE ESTIMATION REFERENCES

参照プロジェクトは、最終的にどれだけの収益を上げたか、あるいは最終的に企業のミッションに対してどれだけのインパクトを与えたか、リスクを軽減したか、新しい能力を学ぶことができたかによって考えます。これにより、バリュースコアが作成されます。バリュースコアを確実に取得する方法のトレーニングについては、認定スクラムプロダクトオーナーセミナーで説明しています。過去のプロジェクトから参照できるバリュースコアを使用することで、プロダクトオーナーは、会社にとっての大まかな価値を素早く評価することができます。それを労力のサイズや、技術的な依存関係を考慮した上で、最も価値が高く、最も労力の少ない仕事を最初に取り組みます。

グループスクラムボード/GROUP SCRUM BOARD

作業を行っている各チームの行と、各チームが完了した各スプリントを確認できる列を備えた大きなボードです。これにはビジネス全体を実行するために必要なKPIが表示されます。実際には、これらのKPIは通常、各チームがそのスプリントで消費した金額やリソース、そのスプリントのアウトプットが会社にもたらした金額やリソースです。そのスプリントでそのチームが完了した作業のポイント数、そのスプリントのアウトプットでの品質の問題や品質スコア、そして具体的に何がそのスプリントで完了したかなどです。

最後に

スクラムの基本と活用方法、推奨するスクラムアクセサリについて、読んでいただき、ありがとうございました。コメントや、訂正、フィードバックは大歓迎です。それでは、健康的で前向きなチームの一員として、価値のあるプロダクトを迅速に作りましょう。

Joe Justice ジョージャスティス